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総合リハビリテーション ISSN 0386-9822 (Print) ISSN 1882-1340 (Online) 38巻2号(2010.02)P.135-141(ISID:1552101702)

特集 中枢神経の可塑性
脊髄損傷への応用

中澤 公孝 1

※1 東京大学大学院総合文化研究科

【キーワード】 脊髄損傷,ニューロリハビリテーション,脊髄歩行中枢


脊髄の可塑性
 従来,脊髄は他の中枢神経とは異なり,神経回路に可塑性はないと考えられてきた.しかし近年の研究は,脊髄には従来考えられていた以上の柔軟性があり,ある程度の学習あるいは適応能力があることを示している1,2).例えば,Wolpaw3)のグループは脊髄伸張反射経路を対象とした一連のユニークな研究において,この経路の可塑性を実証している.彼らはラットやサル,ヒトの伸張反射あるいはH-反射の出力をオペラント条件付けし〔反射出力を増加(または低下)させると報酬が得られるように条件付けすると〕,それらの出力を増大または減少させることができることを示した(図1).
 長期に及ぶ特定運動課題のトレーニングがヒトの脊髄反射を特異的に変調することも報告されている.Nielsenら4)はベルギーの有名なバレエ団のダンサーを対象としてヒラメ筋H-反射を調べ,それが他の競技を行っている被験者のH-反射に比べ,特異的に抑制されていることを見いだした.バレエダンスでは独特な爪先立ちを繰り返す.それはヒラメ筋に代表される下腿三頭筋の収縮と前脛骨筋など,足背屈筋群の収縮が同時に行われる共収縮を伴う.そのような特殊な運動課題が日常的に繰り返されることで,シナプス前抑制の増強と相反抑制の減弱が生じ,結果としてヒラメ筋脊髄運動ニューロンでのIa入力に対する伝達特性が可塑的に低下した,と考えられた.このような特殊な運動課題に対する脊髄反射の適応は他の競技者(陸上短距離・長距離,水泳5)など)においても報告されている.


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