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総合リハビリテーション ISSN 0386-9822 (Print) ISSN 1882-1340 (Online) 31巻2号(2003.02)P.113-120(ISID:1552100744)

特集 脳外傷の障害評価
神経心理学的検査の適応と限界

先崎 章 1
三村 將 2

※1 埼玉県総合リハビリテーションセンター神経科
※2 昭和大学医学部精神医学教室

【キーワード】 脳外傷,神経心理,前頭葉,高次脳機能障害,情動障害


脳外傷者に神経心理学的検査を行う際の注意点
 神経心理学的検査は何のために行うのであろうか.家族や患者が望んでいるものは,能力障害の改善であり,さらには社会的不利の克服であろう.神経心理学的検査の「数値」は,あくまでも機能障害の一部を把握するもので,それ以上のものでも,それ以下のものでもない.検査では,能力障害や社会的不利の理由を説明しうる機能障害を明らかにしなければならない.また,神経心理学的検査の「数値」を抽出することのみに終始しては,良好な治療関係は結べない.リハビリテーションにつながる評価にはならない.すなわち検査を「道具」として,その患者の取り組みに対する態度をみながら,注意や覚醒度の状態,反応や行動のパターンを把握することが必要である.誤反応パターンをもとに機能の欠損について話し合い,自身の洞察を深める援助をする(態度を示す)ことが必要である.患者と対話するための「道具」の一つとして,そして,症状の改善,能力障害のアプローチへの手がかりを見つけるものとして,神経心理学的検査を用いなければならない.
 脳外傷による脳細胞の破壊は,頭蓋骨の内壁に衝突し(特に前頭葉底面~側頭葉前部の損傷),あるいは,ずれ応力が軸索を断裂することによる(びまん性軸索損傷),といった外力による一次的な破壊と,脳圧亢進,循環不全などによる二次的な破壊(側頭葉内側部なども含む広汎な部位の損傷)とがある.したがって,脳細胞の破壊による機能不全は,通常の脳血管障害の場合と違って,特定の部位には限局せず,広汎な範囲で起きている.神経心理学的検査で把握が期待されるものは,記憶,注意,前頭葉機能,知能である.一方,頭頂葉付近の損傷は比較的起こりにくいので失行は少なく,片半球のみの損傷も少ないので半側空間無視も少ない.


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